それは不要だと考えています。
『家族内に発熱者が出ても 無症状の家族に検査・治療は通常不要である』 というのは事実ですが、その理由は「溶連菌が常在菌だから」ではありません。
✅ 溶連菌は常在菌ではない
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A群β溶連菌(いわゆる溶連菌感染症を起こす菌)は、
通常は健康な人の喉には存在しない(常在菌ではない)。 -
ただし、保菌者(キャリア)が一定割合で存在する。
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子ども:5〜20%
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大人:1〜5%
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この保菌者は症状が出ないのに喉に溶連菌を持っている状態。
これが「常在菌」と誤解されがち。
経験的には、家族に溶連菌が発症すると、他の人もたいてい全員保菌者です。
✅ 家族が発熱しても、無症状の家族に検査・治療が不要な理由
これは 溶連菌が常在菌だからではなく、以下の理由です:
① 無症状の保菌者を治療する意味がほとんど無い
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保菌者は人にうつしにくく(症状がないため咳が少ない)、
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治療しても再保菌しやすく、キリがない。
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感染症として扱うメリットが薄い。
② 不必要な抗生物質使用はデメリットが大きい
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腸内環境の悪化、アレルギーリスク、耐性菌の問題など。
③ 溶連菌は「症状があるときだけ」治療が必要な疾患
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発熱
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咽頭痛
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扁桃の腫れ
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発疹(猩紅熱)
…などがある場合のみ検査・治療を行うのが正しい運用です。
✅ 例外:家族にも検査する場合
以下のような特殊ケースでは、家族にも検査が行われることがあります。
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家族内で短期間に溶連菌が次々発症する(家族内アウトブレイク)
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腎炎やリウマチ熱の既往がある家族がいる場合
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乳児がいる家庭で重症化リスクが高いと判断される場合
ただし一般家庭では少ないケースです。