難聴者が補聴器を装用しても、言葉の聞き取りにくさが完全に解消されないことがあります。
まず、補聴器はあくまで音を増幅する機器であり、聴覚を正常な状態に戻すものではありません。高度難聴者は単に音が小さいのではなく、特定の周波数帯の音が極端に聞こえにくくなっていることが多いため、補聴器で音量を上げても、言葉の明瞭さが向上しないことがあります。特に子音(サ行やタ行など)は高い周波数帯に属し、高度難聴者にとって聞き取りが困難なことが多いです。
さらに、高度難聴者は長期間にわたり十分な音を聞いていないため、聴覚情報の処理能力が低下していることがあります。これは脳の言語処理能力にも影響を与え、補聴器を装用してもスムーズに言葉を理解できない要因となります。例えば、早口の英語が、聞こえていても理解できないこと、に似ています。
高度難聴者が補聴器を使用しても、完全に言葉を聞き取ることは難しく、口の動きを見るなど、補助的な手段が必要になることが多いのです。