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Q:子供が発熱し溶連菌と診断されました。他の家族も検査、治療が必要でしょうか?

それは不要だと考えています。
『家族内に発熱者が出ても 無症状の家族に検査・治療は通常不要である』 というのは事実ですが、その理由は「溶連菌が常在菌だから」ではありません。



溶連菌は常在菌ではない

 

  • A群β溶連菌(いわゆる溶連菌感染症を起こす菌)は、
    通常は健康な人の喉には存在しない(常在菌ではない)。

  • ただし、保菌者(キャリア)が一定割合で存在する

    • 子ども:5〜20%

    • 大人:1〜5%

  • この保菌者は症状が出ないのに喉に溶連菌を持っている状態。
    これが「常在菌」と誤解されがち。
    経験的には、家族に溶連菌が発症すると、他の人もたいてい全員保菌者です。


家族が発熱しても、無症状の家族に検査・治療が不要な理由

 

これは 溶連菌が常在菌だからではなく、以下の理由です:

① 無症状の保菌者を治療する意味がほとんど無い

  • 保菌者は人にうつしにくく(症状がないため咳が少ない)、

  • 治療しても再保菌しやすく、キリがない。

  • 感染症として扱うメリットが薄い。

② 不必要な抗生物質使用はデメリットが大きい

  • 腸内環境の悪化、アレルギーリスク、耐性菌の問題など。

③ 溶連菌は「症状があるときだけ」治療が必要な疾患

  • 発熱

  • 咽頭痛

  • 扁桃の腫れ

  • 発疹(猩紅熱)

    …などがある場合のみ検査・治療を行うのが正しい運用です。


例外:家族にも検査する場合

 

以下のような特殊ケースでは、家族にも検査が行われることがあります。

  1. 家族内で短期間に溶連菌が次々発症する(家族内アウトブレイク)

  2. 腎炎やリウマチ熱の既往がある家族がいる場合

  3. 乳児がいる家庭で重症化リスクが高いと判断される場合

ただし一般家庭では少ないケースです。

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